日米欧のテレワーク状況と将来展望

 野村総合研究所は(NRI)では、2022年7~8月にかけて日本と欧米主要国でアンケートを実施。テレワークの実施状況等について調査し、2023年2月28日に「2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望」を発表しました。

 2020年コロナの感染拡大によって欧米では行動制限がなされ、テレワークが義務的なものとなりました。2022年以降欧米では、行動制限が解かれ徐々に行動できるようになり、日本の行動制限の方が厳しい状況となっています。そうなるとテレワークは義務的なものというよりは、働き方の選択肢となります。そこで、テレワーク対象者(テレワーク可能な人)と実際にテレワークをしている人の割合を見てみます(図)。

 テレワーク対象者を見てみますと、アメリカ66.9%、イギリス66.3%と6割以上がテレワークの対象となっています。スイス53.4%、ドイツ50.5%、スウェーデン50.3%と5割を超えています。テレワークが可能な人の率がかなり高いことに驚きます。一方で日本は29.7%とテレワーク対象者が3割を切っている状況です。

 テレワーク実施率は、アメリカ49.9%、イギリス51.7%で5割前後、スイス36.9%、ドイツ39.7%、スウェーデンで34.9%となっています。欧米諸国ではテレワークが一定程度定着していることがわかります。日本でも首都圏や大都市圏ではテレワーク対象者率が高く、東京51.7%、千葉・埼玉・大阪も30~40%となっており、通勤時間が長い大都市圏を中心にテレワークが定着する可能性は高くなっています。一方で島根や鹿児島は10%未満と低く、地方部は10~20%なっている県が多くあり、テレワークから出社に戻している企業が多く出てきています。日本全体での実施率は19%と2割弱となっています。

 このデータを見ると、日本はテレワークが遅れているという側面も考えらえますが、地方部では中小企業が雇用の大半を支えており、いわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる現場で働く人が多くいるということも考えられます。

「中小企業家しんぶん」 2023年 4月 25日号より