【企業変革支援PG解説】第2回
企業変革支援プログラムで課題を発見する力を養おう

 中同協は、2022年10月に「企業変革支援プログラムVer.2」(以下、「Ver.2」)を発刊しました。本連載では、より積極的な活用と普及を進めるために、全3回にわたって「Ver.2」の活用意義と活用方法を解説します。

 同友会では、経営指針成文化と実践、社員教育、共同求人、障害者雇用などを一体のものとして取り組む「人を生かす経営の総合実践」を推進しています。企業変革支援プログラムは、人を生かす経営の総合実践をめざす経営が行われているかどうかを自己診断できるツールです。今回は、使い方についてのポイントを解説します。

はじめての使い方~エントリー自己診断ははじめての方におススメです~

 “エントリー自己診断”(図1)を使ってみましょう。自社の現状を大まかに捉えるのに適しています。シンプルな問いかけに答える形式となっています。

 回答する中で、気になるところやわからないところについて、「基本的な使い方」に進みましょう。具体的に取り組むことを発見することにつながります。

 続いてVer.2の最大の特徴である“自己分析シート”の使い方を解説します。

図1 エントリー自己診断

基本的な使い方~“自己分析シート”の活用が会社をよくする!~

 自社の課題や強みを発見するために肝(おまんじゅうのあんこの部分)となるのが、“自己分析シート”(図2)です。例えば、Ⅰ経営者の責任の(3)社員との信頼関係の構築は、労使見解でも中心的なテーマのひとつです。この部分に関して今後何に取り組むかを発見するプロセスを図2を例に見てみましょう。

図2 自己分析シート抜粋

(1)「項目:働きがいのある職場づくり」に関して、(1)「実践例、考えられる取り組みの例」を参考にして、現在の取り組みを振り返ります。考える中で出てきた気づきも合わせて、(2)「現在の取り組み・気づき」欄に書き記していきます。この時気になった事例の(3)「チェック」欄に✓、△、○、?などのマークをつけておきましょう。このマークは複数年取り組む際の参考になります。

(2)記述した現在の取り組みを(4)0~5の成熟度レベル(現在の到達点)で診断します(Point:(3)のチェック欄に多くチェックできたから“成熟度が高い”ではありません。現状の自社の取り組みを熟考して、冊子20ページに照らして診断することが大切です)。

(3)ありたい姿(10年ビジョン)に到達するために何に取り組むかを(5)「今後の取り組み」欄に書き記します。ここで出てくるものは現状を基点として、今後取り組むべき具体的課題のはずです。(1)「実践例、考えられる取り組み」も参考にしましょう。

(4)“変革項目優先順位シート”と“変革検討シート”を使い、「今後の取り組み」に優先順位をつけ、経営指針へ反映させます。

*e.doyuへ登録する成熟度は(6)の部分です。詳しくはVer.2をご覧いただき活用してください。

今回のまとめ

 ありたい姿に近づくための課題発見と解決の取り組みは大切です。さらにおすすめは強みの発見と強みを伸ばす取り組みに活用するという視点です。中小企業・小規模事業者が地域で存続している理由は、そこに各社の強みが潜在しているからです。発見した強みにフォーカスして成熟度レベルを社員と共有し、向上させる気運をつくり、極められる可能性があることは、本プログラムにしかない優れた点と言えるでしょう。同友会のメンバーと相互に活用するのもおすすめします。お互いの指摘の中に気が付かなかった着眼点があるからです。

中同協経営労働副委員長 吉武恭介((株)ワコウクリーンサービス 代表取締役)

「中小企業家しんぶん」 2023年 5月 15日号より