同友エコ受賞企業(会長賞)
時代の流れと共に事業が「省エネ推進へ」~「環境経営」と「健康経営」の【和】
東陽住建(株) 代表取締役社長 中井義也氏(愛知)

 同友エコ2022‐2023受賞企業を紹介する連載。第1回目となる今回は、会長賞を受賞した東陽住建(株)(愛知同友会会員)の取り組みを紹介します。

いつもをもっとしあわせに

 弊社は1979年に愛知県一宮市で創業した建築業の会社です。「いつもをもっとしあわせに」をテーマに、岐阜県東白川村の東濃ひのきを使用した「地震に強い自然素材の家づくり」に取り組んでいます。「いつもをもっとしあわせに」とは、まず、安全で安心であること。その前提のもと命を守り、健康になるという家づくりを中心に注文住宅事業・リフォーム事業を中心に事業を行っております。

 単純に建材や構造がよい家というだけではありません。間取りや資金計画、そして何世代も快適に住めるメンテナンスなども考えた家でなければなりません。弊社はそのすべてを「いつもをもっとしあわせに」する家づくりで実現したいと強く思っています。

地震に強い「耐震シェルター工法の家」

 弊社が得意としている「高樹齢の東濃ひのき」を使った「改良型耐震シェルター工法住宅」がありますが、これは、農林水産省・経済産業省・国土交通省の認定を受けた「農商工等連携事業」です。これは、適切に管理された森林資源活用のために、FSC森林認証(※)の普及・推進に取り組む岐阜県東白川村の森林組合・東白川製材協同組合と連携し、地域ブランド「東濃ひのき」の認知を広めながら地域経済の活性化をめざすものです。この事業で良質な木材を適正価格で安定供給し、耐震構造を備え持つ家を1棟でも多く地域に普及させることで、安全で安心な家づくりと地域づくりを同時に進めています。

 この「改良型耐震シェルター工法住宅」では、東濃桧の大黒柱(24センチ角×4本)を胴差しの木質フレームで囲う工法を用いています。これは、一般的に使われている耐震構造に木の粘り強さを生かした伝統工法の要素を取り入れる点が特徴で、太い4本の柱と太い梁に厚いかもいを組み合わせているイメージです。これは、壁の高剛性・高強度によって構造の倒壊を防ぎ、木組みにより揺れのエネルギーを吸収するなど、「耐震」と「制震」を組み合わせたバランスのよい木造軸組工法になります。

※FSC認証は環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林から生産された林産物や、その他のリスクの低い林産物を使用した製品を目に見える形で消費者に届ける仕組みです。

快適な暮らしも命あってこそ

 弊社は、ひのきが持つ強さの特性を最大限に活かす「改良型耐震シェルター工法」により、災害時などにおける「家族の避難場所を家の中につくる」ことを実現しました。家には、住みやすい間取りであったり、使い勝手だったり、さまざまな機能が必要です。なかでも、その暮らしの中心となる「家族の命を守る」という重大な機能が家には不可欠です。もしも、家の中に居る時に地震が起きたら、その時に瞬時の判断で行動できることは限られます。弊社の「改良型耐震シェルター工法」は、家族が最も多く集うリビングを「耐震シェルター」にし、「大切な家族の命を守る家」として機能します。

森林の活性化につなげる

 弊社の「改良型耐震シェルター工法の家」は、自然の恩恵である「高樹齢の東濃ひのき」をふんだんに使っています。「木材の伐採は森林破壊につながるのでは?」と懸念される方もいらっしゃいますが、実は、適正に木を使い、森を管理することは、森林の保護につながります。また、木は成長が盛んな若い時期にたくさんの二酸化酸素を吸収し、伐採して成長が止まると二酸化炭素を内部に貯蔵するため、大気中の二酸化炭素を減らすことにもなります。弊社はFSCの基準を満たす木材を使用していますので、それが森を適切に管理する社会貢献活動にもつながっています。環境保全につながる社会貢献活動は、「無理してよいことをする」のではなく、「誰でも無理なく参加できるもの」で、「継続すること」が重要です。

地域に根差した会社の役割

 建築中には東濃ひのきの端材が出ます。弊社は「何十年かけて立派に育った木を無駄にすることなく使い切りたい」との思いから、端材を使った木製品を販売する「TOCOTOCO」を立ち上げました。現在は「ひのきのバラ」、「ネコちゃんの高級ベッド」、「寄木1輪挿し製作キット」をインターネットと実店舗で販売しており、それに合わせたイベントを展開して、地域の方に木のよさについてお伝えしています。

 木のよさを伝えるのも、木の家の技術を継承していくのも、地域にある工務店の大切な役割だと考えています。私たちがめざすのは、家をつくるだけでなく、住まいを育て、顔の見える人と人のお付き合いを広げ続けること。いざという時、地域の核となれることです。毎月イベントやボランティア・ISOやFSC認証を活動の中に組み込み「いいものをつくり、いいことをする」ことを継続的に行えるよう仕組み化しています。

 同友会の学びの中で組織は、丸型に近づけると学びました。その丸が転がったとき、自然とリーダーが生まれ組織が柔軟にフラットに展開していく。そうすることで無理なくいいことが続けていける仕組みとなっています。

会社概要

設立:1979年2月
資本金:2,000万円
従業員数:17名
事業内容:住宅建設、リフォーム、不動産・仲介事業
URL:https://www.toyo-ie.jp/

「中小企業家しんぶん」 2023年 7月 15日号より