【知っておきたい採用のあれこれ】第4回
求人票不受理への実務対応②
(株)エム・ソフト 顧問・社会保険労務士 西 秀樹(東京)

 昨年10月、改正職業安定法が施行され、労働者の募集を行う際のルールが変わりました。改正職業安定法について解説する本連載「知っておきたい採用のあれこれ」。第4回目は「求人票不受理への実務対応(2)」です。

 求人票不受理への実務対応(1)に続き、(2)では、労働条件通知書と就活ハラスメントについて述べたいと思います。

労働条件通知書について

 新卒採用においては、募集から採用・就業までの期間が長く、募集段階から労働条件に変更が生じやすいことから、就業前に労働条件を確認することが重要であるため、労働者の募集および求人の申し込み、ならびに労働契約締結時の労働条件の明示規定を求人票不受理の対象としています。2017年12月に「採用内定時に労働契約が成立する場合の労働条件明示について」が厚生労働省より通知され、その内容は、「労働基準法第15条、同法施行規則第5条により、使用者は労働契約締結に際して労働条件を明示しなければならない」とされました。リーフレットの中では、1979年7月20日付け最高裁第2小法廷判決、1980年5月30日付け最高裁第2小法廷判決が紹介され、内定は始期付解約権付労働契約であることが示されました。また、2018年1月1日には「労働条件の明示が必要な時点」として職業安定法が改正されました。その中で、最低限明示しなければならない労働条件などが示され、労働条件等の変更明示の方法などが具体的に示されていますので、今一度ご確認ください。

就活ハラスメントについて

 就活ハラスメント防止対策は、労働施策総合推進法に基づく指針および男女雇用機会均等法に基づく指針において望ましい取り組みとされています。では、誰からのどのような行為が就活ハラスメントに多いのでしょうか。誰からとしては、インターンシップで知り合った従業員、採用担当者、企業説明会担当者、OBOG訪問で知り合った従業員が多く、行為としては性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、性的な事実関係に関する質問などです。ではどのような場面が多いのでしょうか。インターンシップ参加時、企業説明会参加時、採用面接時、内々定を受ける時点、リクルーターと会った時などです。

 今の新卒採用は、全社一丸となって行う重要な企業活動です。そこに参加させる従業員の安易な言動が、企業に就活ハラスメントという大きなリスクを負わせることになることを従業員に周知すべきでしょう。

 最後に、Z世代は働く環境や企業理念に共感できる企業を選ぶ傾向が高まっています。今働いている従業員からは不満が出ていないと考えるのではなく、一歩進めて働く環境を整備されることをお薦めいたします。

「中小企業家しんぶん」 2023年 7月 15日号より