宮城同友会における『企業変革支援プログラムVer.2』の活用について

 中同協は、2022年10月に「企業変革支援プログラムVer.2」(以下、「Ver.2」)を発刊しました。今回は、玄地学・中同協経営労働副委員長による宮城同友会の活用事例を紹介します。

1.これまでの『企業変革支援プログラム』の取り組み

 これまで、宮城同友会では『企業変革支援プログラム(以下、PG)STEP1・2』を活用し自社の課題抽出や、課題解決のプロセスなどを学んできました。「経営指針を創る会」や、「各支部例会」、「各委員会」でも取り組んできましたが、特に以前に開催していた「幹部社員共育塾」では、経営者と幹部社員がSTEP1を用いて現状認識を共にし、STEP2でどのようなステップで解決に向かうのかを共有できたことで、一気に社内を巻き込むことができ、それまでできなかった経営指針発表会を開催できるまでになったことなど、多くの成果をもたらしてくれました。

2.宮城同友会経営労働委員会にてVer.2活用の検討と„宮城流"活用法

 Ver.2に取り組むと、「時間がかかる」「疲弊する」「社員に説明できない」「社員と一緒に取り組めない」という意見がありました。そこで、廣中聡・宮城同友会経営労働委員長を中心に経営労働委員会で、Ver.2の活用方法を検討しました。そこで編み出された方法が(1)≪エントリー自己診断≫を実施し、(2)そのまま≪変革項目優先順位シート≫に進み、(3)優先順位を1~2項目決め、その項目のカテゴリーに戻って、改めて「項目」「解説」「実践例」を確認、(4)そこから「気づき」「今後の取り組み」を記載、するという手順です。

 この手順で進めることで、1項目ではありますが課題抽出から問題解決までの具体的行動を示すことができます。最初から順番に取り組むと3時間以上かかりますが、この方法であれば、約50分と短時間で行うことができます。例えば四半期ごとなど、短いスパンで実施してもそんなに負担にはなりません。社員と一緒に取り組めるということで、„宮城流"と称しこの方法で進めてみることにしました。

3.自社での取り組みと指針を創る会や支部例会での反応は?

 取り組む方法が決まり、さっそく自社で実際に取り組んでみました。取り組んでみるとエントリー自己診断は、読み上げながら進んでも約6分。そこから優先順位シートへ進み、各自選定した項目に移り「気づき」から「今後の取り組み」まで進んでも50分と、1時間かからずに課題抽出から具体的行動まで出すことができました。社員からの感想も「わかりやすい」「次が見えやすくなった」「具体的行動がわかりやすかった」など7割の人が好印象でした。

 また、支部単位でVer.2を使った例会を開催したところ、「最初はPGを避けていたが、みんなと一緒にやってみるとこんなに簡単に課題が明確になり、会社でも社員とやってみようと思った」「1年間このVer.2を活用し、自社と同友会、地域が変革できるように取り組みたい」など、多くの方から高評価と期待の声をいただきました。

4.これからの期待

 このVer.2が、「経営者と社員」をつなぐコミュニケーションツールとして日常的に活用され、その先に「自社と経営指針、同友会」がつながり、ひいては「地域づくり」を新たなステージへ促すものとして大いに期待したいと思います。各同友会や委員会、支部・地区などで工夫しながら、自社の変革に活用していきましょう!

中同協経営労働副委員長 東洋産業(株) 代表取締役 玄地 学

「中小企業家しんぶん」 2023年 7月 15日号より