同友エコ受賞企業<幹事長賞>
地域への貢献が「SDGs」へ~地域に根差す企業の地方創生~
藤田建設工業(株) 取締役会長 藤田 光夫氏(福島)

 同友エコ2022-2023受賞企業を紹介する連載。第2回目となる今回は、幹事長賞を受賞した藤田建設工業(株)(福島同友会会員)の取り組みを紹介します。

 藤田建設工業(株)は、主に土木、道路、大規模建築、戸建て住宅建築の他、管路更生工事等の特殊工法を行っています。

 1950年3月に創業し、72年目を迎えました。2009年に環境ISO14001を取得し、木質バイオマス事業の取り組みが評価され2018年に地域未来牽引企業認定を受け、2021年10月に関連グループ企業とSDGs委員会設立を宣言し、2022年にふくしまゼロカーボン宣言を行っています。

持続可能な地域循環型社会形成をめざして

 同社は「地域に根差す」企業として、地域の企業と資源の活用を優先しています。環境貢献では、主要道路・河川の清掃活動、棚倉町を中心とした18駅の駅舎清掃を毎年実施しています。資源活用では、石材、木材をはじめ、地元企業の生産・加工品を優先して利用しています。この取り組みは東日本大震災発生後の復興時に、仮設住宅用のプレハブ供給が不足する中、同社では地元大工の手で地産木材を使った建物を提供できました。調湿機能が高く、優しい肌触りと香りを提供でき、利用者から好評を得ることができました。後の復興公営住宅建設事業では、人手・資材が不足する中、短期間での完成が求められていました。木材を大型集成材に加工して壁材にする手法で要望に応え、入居者に喜ばれる木材を使った集合住宅を提供し続けました。

 再生可能エネルギーの取り組みでは、太陽光発電設備の建設に「地域貢献型太陽光発電所」と目的を決め、地元企業の簡易金属型枠でコンクリート土台を成形し、規格外のひのきの芯持材を大工が架台に加工し、地元企業の太陽光パネルを採用しました。完成後は、利益の一部を地域で活躍するスポーツ少年・少女に寄付しています。

 バイオマス事業では、温浴施設へ導入し、木質ペレットを燃料に電気と熱を作り、熱は温泉加温、シャワー、床暖房、ロードヒーティングへと無駄なく使う段階的利用の実践を行っています。

 木造の建物や構造物で炭素を固定し、空気中の炭素を植物が吸収することが環境保全につながるため、成長が早い樹種を社有地に植樹する「令和の森植樹事業」を2020年より毎年実施しています。

SDGs福島から未来へ

 同社の「経営理念」の1つは、「私たちは、地域の自然素材活用に情熱をもち、社会の期待に応え地域発展のために邁進します」としており、経営方針には「環境保全は私たちの務め」「全社員で社会貢献」が含まれています。経営方針は朝礼で唱和され社員への浸透が行われています。

 「創業から地域に根差し貢献することを続け、できることを広げてきた結果、SDGsの掲げる項目に各取り組みが合致し、環境・社会貢献として評価される時代となりました。当社が特別ではなく、地域に根差し活躍している企業が、当たり前に実施している1つ1つが周囲からは特別に見えることがあります。皆様には、自社を見つめなおし、発信する機会をもつことで同友エコが広まり、貢献意識が高まることを願っております」と藤田氏は語りました。

「中小企業家しんぶん」 2023年 8月 5日号より