あらためて平和について考える~終戦記念日を迎えて

 8月15日は終戦記念日。1939年から1945年に行われた第2次世界大戦では、世界で数千万人、日本で300万人を超える尊い命が失われました。

 第2次世界大戦の終戦から78年が経ちましたが、世界各地で内戦や紛争が絶えません。ロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、多くの人命が失われ、さまざまなインフラや自然、文化遺産などに甚大な被害をもたらし、核兵器の使用も懸念されています。

 コロナ禍の下でも世界の軍事費は過去最高を記録するなど軍拡競争が続き、各地で緊張が高まっています。人類滅亡までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」の残り時間は90秒を示し、過去最短となりました(アメリカの科学誌「原子力科学者会報(BAS)」が毎年発表)。

 さらに東アジアにおいても緊張の高まりが指摘されており、あらためて今、平和について考えることがかつてないほど重要な時代になっています。

 日本世論調査会が行った平和に関する全国世論調査の結果から、日本における平和に関する意識などを見てみます。(調査結果は東京新聞2023年7月30日より)

 「日本が今後、戦争をする可能性があると思いますか」との設問に対しては、「大いにある」(7%)、「ある程度ある」(41%)、「あまりない」(39%)、「全くない」(11%)となっています。「おおいにある」と「ある程度ある」を合わせると49%で、3年前に比べると17ポイント上昇しています。

 「あなたは、今後10年以内で、核兵器が戦争に使われる可能性があると思いますか、思いませんか」の問いに対しては、「大いにある」(12%)、「ある程度ある」(52%)、「あまりない」(30%)、「全くない」(6%)となっており、6割超の人が核戦争の危機を感じており、しかも増加傾向にあります。

 そして「日本が戦争をしない国であり続けるためには何が最も必要だと思いますか」の設問に対しては、「平和外交に力を入れる」(32%)、「戦争放棄を掲げた憲法9条を守る」(28%)、「防衛力を増強し、他国から攻められないようにする」(21%)、「国連の安全保障理事会が機能する」(7%)の順になっています。

 第2次世界大戦を通して得た「中小企業は平和な社会でこそ繁栄できる」との教訓から、わたしたち同友会は日本経済の自主的・平和的な繁栄をめざすことを3つの目的に掲げています。

昨年、沖縄で開催された中同協第54回定時総会の総会宣言では「時代の大きな転換期にある今、中小企業は平和な社会、持続可能な経済・社会の担い手として期待」されていること、「人を生かす経営の根幹は、人間の生命と尊厳を守り抜くこと」にあることを確認しました。

 今、あらためて平和についてそれぞれが考え、行動することが求められていると言えます。

(KS)

「中小企業家しんぶん」 2023年 8月 15日号より