【2023組織強化・会員増強全国交流会 事例報告①】純増率日本一を達成した山梨同友会の取り組み
楽しさと組織づくりにこだわりぬいた会員増強
山梨同友会・仲間づくり委員長 (有)ワールドデザイン代表取締役 塩澤主税氏

山梨同友会は、楽しさと組織づくりにこだわった増強を行うことで純増率日本一を達成しました。その山梨同友会の取り組みを紹介します。

先送りをなくすために

皆さんの同友会では、会員増強の話題になると「次の役員会までに」「来月の例会にはお誘いしましょう」というようなコメントが出ることはないでしょうか。こうした先送りが続いては、いつまで経っても目標を達成することはできません。

山梨同友会では、「1年で50名純増」という目標を達成するために、こうした先送りを無くし、楽しさと組織強化にこだわった増強活動を行ってきました。

楽しみながら組織づくり

まず取り組んだのが組織強化です。役割分担を明確化するために組織図を作成。各支部から副委員長を選出し、副委員長のもとにメンバーを置くことで組織力を発揮できるようにしました。また、理事会で「いつまでに何をする」という目標を設定した後、それを基に各支部で数値目標を設定するようにしました。ポイントは組織図を反対から見てみることです。委員長が野球のキャッチャーのようなポジションに立つことで、全員を見ながら話を聞くことができ、新会員を含めて一人一人の悩みに向き合えます。

支部では増強をするための例会も企画しました。堅苦しくない、笑いに包まれる例会で増強をする意識にしたいと、私自身が各支部を回りました。

4年前に設立された富士山支部は、2022年度の期首会勢は13人でのスタートでした。私は「どうしても会員数を30人にしたい!」との思いから、泊まりがけで例会に参加。また支部長と副委員長が3月31日の23時まで活動し、ついに目標を達成できました。私が所属する南支部でも、メンバーが一致団結して前向きに取り組むことで年内に目標を達成し、結果は目標プラス10人となりました。楽しく和気あいあいと進められたことがよかった点です。甲府支部・東支部も南支部に負けないという意識から目標を達成できました。

新会員が主役になる場づくり

新会員に対しては、従来のオリエンテーションを「新会員アカデミー」と名称を変更し、活動に参加しやすい風土を築きました。

またオリエンテーションだけで終わらない継続的なつながりのために「同期会」も設立しました。そのほか、新会員だけで役割分担する「ミニ例会」も開催。座長や室長も新会員自身が務めるこの例会を行うことで、支部に戻った後も新会員が即戦力として活躍できるようになりました。中には、支部に戻ってすでに実践報告などをしている会員もいます。

各支部で、同友会を独自に解釈する取り組みである「同友会ってどうゆう会?」も開催しました。これは長野同友会の事例を参考にした取り組みで、年に2~3回、新会員などを何度も招いて行っています。私は「たくさん握手をして落とす」という気持ちで参加しており、最後までどこにでも呼びかけることの重要性を実感しました。時間が経つと入会しないので、熱いうちに呼びかけることが大切です。

何のための会員増強か

会員増強は、同友会の精神を自分が理解するだけではなく、みんなで実現しようという他人事から自分事への転換のためのものです。1人で50人の新会員を集めることは無理なので、例会などで「100人でやれば2人で1人の新会員」と意識改革することも大切です。また笑顔で増強することで空気が明るくなります。すると辞める人も少なくなり、窓が1つ開いて次のステージへ向かえると思っています。

今年の夏の甲子園のベスト8校の中に、もはや丸刈りの野球部員はほとんどいません。昭和の野球部のような古い姿では新たな運動が滞ります。フランクな世代間交流で頭を柔らかくすることで、新しい増強・役割分担が可能となるのではないでしょうか。これからの新たなステージのリーダーをつくるイメージで、若い世代を取り込むための柔軟性を持つことも重要です。自分の地域によりよい企業が残るように、その波及効果は絶大だと信じて、増強運動を進めていきたいと思います。

楽しく明るく未来を語ること、そして同友会を1つにすること。以上2点の重要性を申し上げて報告といたします。

「中小企業家しんぶん」 2023年 10月 15日号より