【企業変革支援プログラムの活用】
企業変革支援プログラムで自社の客観的な立ち位置を確かめる

 中同協は、2022年10月に『企業変革支援プログラムVer.2』を発刊しました。今回は、奥脇学・中同協障害者問題副委員長の活用事例を紹介します。

 今回、企業変革支援プログラムVer.2の作成にあたり、障害者問題委員会から担当委員として私が立候補し、関わらせていただきました。現在、中同協の障害者問題委員会の副委員長として活動していますが、私が同友会に入会したのは、経営指針を学びたいという動機からでした。入会してから約10年間、経営労働に関連する多くの活動に携わり、充実した学びの機会を得ることができました。

 中でも、企業変革支援プログラムには特別な思い入れがあり、社内のすべての従業員と共に自社の位置づけを客観的に検討する貴重なツールとして利用してきました。『STEP1』が導入された際、全社員と共に学び、自社の位置を評価し合いました。同じビジョンを共有し、社会に向けて貢献しているつもりでしたが、社員と経営陣の評価には大きな違いがあることに驚き、組織内の見解の相違や認識の違いについて深く理解する手助けとなりました。

 それ以来、私は企業変革支援プログラムを非常に重要なツールとして位置づけ、『STEP1』では主観的な評価が支配的である傾向があると感じており、もっと明確で論理的な評価を行えないかと考えていました。そのような状況の中、『STEP2』が導入されました。『STEP2』の導入以降、自社の位置がより具体的に把握できるようになり、毎年、経営計画書を作成する前に幹部社員が評価し、自社の立場を確認し、それから経営計画に取り組むことが標準となっています。

 今回、障害者問題委員会から関わらせていただいた際には、委員会でいつも中心的に話題や議論になる地域との連携、地域課題の解決の項目を追加したいと考えました。そのため、新設されたⅥ企業の社会的責任に関する項目、具体的には「企業論理と実施体制の構築」、「地域と環境への取り組み」、そして「他社や様々な団体・組織との連携」が追加されたことは、社会的および地域的な自社の位置づけを理解する上で非常に効果的な要素であると考えています。

 経営計画には通常、表面化しにくい地域課題へのアプローチや、行政機関やさまざまな活動団体との連携が明示的な課題として浮かび上がるようになったことは、地域社会と協力・連携して「地域とともに生きる」経営を目指す観点から非常にうれしいことでした。

 今年経営計画を作る前にいつものように新しくなった企業変革支援プログラムVer.2を用いて自社の位置づけを幹部社員と確認し合いました。毎年マンネリ気味になっていた確認会議も新しくなりさまざまな議論を一緒にできたことはとてもよかったと思っています。

 皆様にも、この企業変革支援プログラムを通じて、同友会理念の経営を客観的に実践しているかどうかを確認していただきたいと考えています。

 そして、この確認した内容を経営指針を策定する際の基材として活用し、より同友会理念の経営を実践するのに役立てる流れでご活用いただきたいと思います。

(有)奥進システム 代表取締役 奥脇 学

「中小企業家しんぶん」 2023年 11月 5日号より