【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】
共育理念を掲げて~学校と企業、そして学生が連携して
2023年度インターンシップ【愛知】

原点を大切にし、26年間継続

 愛知同友会では1998年より大学生のインターンシップに取り組み、今年で26年目を迎えます。この間、32大学から2000名を超す学生をのべ1000社と事務局で受け入れてきました。

 愛知同友会のインターンシップの特徴は、第1に、採用の手段としてではなく、「働く意味を学び、今後の就職活動に生かす」ための共育活動の一環としていることで、派遣大学の先生方からは高い評価を得ています。

 また第2の特徴に挙げられるのが、学生・大学・企業が、それぞれの立場でインターンシップに参加し、共につくり上げていることです。

 受入企業にとって、自社の現状を学生の視点から知ることができたり、採用力・育成力を社内に醸成できるなど、経営者自身の学びや社内改善にもつながっています。

学生60名(12大学)が30社と事務局で研修

 今年度のインターンシップは4年ぶりに対面で開催し、12大学から60名の学生が会員企業30社と事務局で、2週間の研修に臨みました。

 8月21日のキックオフセミナーには、学生・企業・学校関係者総勢115名が参加しました。まず昨年インターンシップを経験した学生実行委員2名が報告。「メモを取り、自分で振り返りながら、自身の成長を感じることができた」「企業理念はその場所で働く人の生き方に通ずるものがあるので、それを実感してほしい」と語りました。

 受入企業として、(株)トヨコン社長の明石耕作氏から「社員や経営者と積極的に話し、その企業のカルチャーを生で感じてほしい」「最後までやり抜く意識を持ち、できない理由ではなく、どうやったらできるようになるかを考える場にしてほしい」と、研修に臨む学生への期待を語りました。

 その後、グループ討論にて研修の目標を設定し、各社での研修が始まりました。

受入企業の経営者は2週間で何を得たか

 9月1日の修了式では、この2週間の研修での気づきや学びを受入企業2社((有)コンタクト、(株)伊藤精密工具製作所)の経営者と研修生が発表。それぞれの学生からは「書き写すこととメモを取ることの違いを実践で感じた」「中小企業で働くことをイメージできた」「自分の働く目的を見つけることができた」と語りました。

 一方、経営者からは「自分自身日々の仕事で、なぜこの仕事を始めたのかが薄れてしまっている中で、学生に語ることで思い返すことができた」「ルーティンでの仕事が多い中、社員も自分の仕事の意味を考える機会となった」との声が寄せられました。

 修了式後には、企業と学校で恒例の「まとめ会議」を開催し、同友会の考える企業と学校の連携構想に関して有意義な意見交換を行いました。

「中小企業家しんぶん」 2023年 11月 25日号より