第8回経営労働問題全国交流会【実践報告】
経営労働委員会を中心とした活用法~導入ハードル軽減のために~
山口同友会経営労働委員長/津森鉄工(有)代表取締役 津森 昌幸氏

 私は山口同友会の経営労働委員長を務めています。山口同友会では、半年をかけて「経営指針成文化塾」を全11回行っています。スタートしたのは2007年で、現在27期が終了し、修了者数は162名です。

 指針塾の最近の課題は、(1)受講生の途中離脱が多い、(2)受け入れ人数の問題、(3)助言者の質の3点です。(1)は、受講前と後のミスマッチによるものが多かったので、入塾する条件に事前説明会の参加を必須としました。(2)は、コロナ禍からオンラインを積極的に取り入れ、助言者を3チームに分けて最大12名の受講生を受け入れられる体制にしました。(3)は、受講生から助言者に対して「助言の内容が毎回違っている」「偉そうできついことを言われる」などの意見が寄せられ、助言者の欠席率が高く、共に育つという意識が低いことが問題となっていました。現状を打開するために、助言者の名称を「サポーター」と改め、受講生に対してサポーターを担当制にしました。そして、毎回指針塾の終了後にサポーターだけで振り返りを行い、全体の方向性を合わせ、完成度を上げています。さらに、「サポーターの心得」を作成し、指針塾が始まる前に研修を行っています。そこでは「否定すること」を禁止事項として伝えています。否定するのではなく、褒めてよい部分を伸ばすことを重視しています。

 『企業変革支援プログラムVer.2』(以下「Ver.2」)に取り組んでみて、「STEP1」と比較すると若干ハードルが高いなと感じました。「Ver.2」を普及するには「STEP1」のような取り組みやすさが必要であると考え、楽しさや目標達成へのモチベーションを高めるために「Ver.2」のゲーム作成に至りました。そこで、会員企業であるYIC情報ビジネス専門学校の学生と山口同友会が協力し、ゲーム作成を始めました。YIC情報ビジネス専門学校は、県内からの進学率が91%と高く、卒業後も県内で就職する学生が多いことから、山口同友会と包括連携協定を結び授業協力などを行っているので、ゲーム作成の協力を仰ぎました。

 学生と一緒に「Ver.2」のゲーム化をする上で企業変革支援プログラムの説明や経営の大変さがなかなか伝わらないことや、企業変革支援プログラムに楽しく取り組めるようにする仕組みづくりに苦労しました。そこで、「学生の視点から考えるよい会社」をカテゴリーⅦとして追加し、学生が自分事として「Ver.2」について考えられるようにしたことで開発が進み、「Ver.2」のカードゲームができました。

 このカードゲームは4~6名で40~50分程度で行い、1つの例会をイメージして作成しました。各カテゴリーが書いてあるカードをランダムに1枚引き、そのカテゴリーについて自己評価と他者評価をして、それが一致していたら得点できるというルールです。これはグループ討論を重視し、会員同士の関係性を深めるとともに企業変革に取り組むきっかけとなるように考案しました。

 われわれにはこのゲームをきっかけとして「Ver.2」を普及し、登録率を上げることで山口によい会社を増やしていく使命があります。全国の皆さんにこのゲームを使っていただけるように今後もゲームの改良を続け、「Ver.2」の普及に努めていきます。

「中小企業家しんぶん」 2023年 12月 15日号より