【同友エコ受賞企業】<同友エコ奨励賞>
未来図をカタチに。わが社のSDGs
(株)マックス設計 代表取締役 成田 建治氏(宮城)

 同友エコ2022―2023受賞企業を紹介する本連載。第8回となる今回は、同友エコ奨励賞を受賞した(株)マックス設計(宮城同友会会員)の取り組みを紹介します。

何から始める? SDGs

 2018年、SDGsを知る社員は少数でした。2019年に経営指針にSDGs方針を盛り込み、着手したのは身近な省エネからです。節電・節水・エコバッグ利用。また、すでに取り組んでいた献血・フードドライ(備蓄)・救命講義もSDGsに該当することが分かり、無意識で行っている中にあるSDGsにも意識を向けるようにしました。そして、自分たちの行動と17のターゲットの一覧表を作成し、社内で取り組みの見える化を推進していきました。

 2021年、3年経過して行った社内アンケートでは、回答率の高さから全社的にSDGsが認知されたことを実感するものでした。オリンピック開催年でもあり、世界と日本の進捗度を比較しやすい時期だったからか、日本全体の意識が低いことにも着目した社員もいて、個人の意識と行動だけではSDGsの目標は達成しないのではないかという意見も出されました。

BCPもSDGsの一環

 所在地である宮城県山元町は、東日本大震災で甚大な被害を受けています。2019年、事業継続計画(BCP)の策定時に、災害時には事務所を避難所とすることを明記し、防災備蓄倉庫も備えました。以来、継続して下記の体制を整え続けています。

 (1)停電時の対応として、全体の消費電力を賄える発電設備を有している、(2)可搬型防災薪ストーブを備え、燃料として木端材をすぐ使える状態でストックしている、(3)社員が帰宅困難になった場合の宿泊機能も備わっている(お風呂・トイレなど)、(4)防災備蓄倉庫は耐震性能に配慮した構造になっている、(5)担当者を置いて、防災用品・備蓄品の管理を定期的に行い、社員の食品アレルギーも把握して備える。入れ替え時には防災用品と備蓄品を山元町社会福祉協議会へ寄付する、(6)非常時には地域の住民にも開放することを、地域の区長とも協議済み。

 将来的には行政との連携も模索しています。

自社事業の本質からめざすゴールを設定する

 2022年には、地元銀行のSDGs診断を受け、「マックス設計」として取り組むべきSDGsについて話し合い、3つの目標を策定しました。

 (1)「3Rの徹底」年間10万枚にものぼる図面紙の削減に成功。(2)「健康経営」休憩時のストレッチ推奨や、地域が開催するウォーキングイベントに参加。社員の健康意識が高まり、地域との交流にもつながっている。(3)「人材育成」社員のやりがいのためでもあり、お客さまの安全安心のためでもある。人材育成はよい設計・製図の源泉でもあり、品質の高い建物をつくることに直結する。

 現在は人材開発事業を立ち上げ、社内では育成計画を策定し、若手だけではなく全年代層にメンター制度を導入。育成計画に沿った社内研修の企画や、外部研修の参加を社内外に推進しています。

 これまでの取り組みで「SDGsを知って、具体的な実行を決める」ところまで進捗しました。SDGsを通して生まれた意識が社風となり、その社風から新しい事業を生み出す。次はそのステージを見据えています。

会社概要

設立:1989年
事業内容:建築物の鉄骨設計事業、人材派遣事業、人材開発事業
社員数:36名
URL:https://max-ae.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2024年 2月 5日号より