改めて企業防災の検討を

 2024年の元日に発生した能登半島地震は最大震度7、津波も引き起こし、甚大な被害をもたらしました。地震から2カ月が経とうとしている今でも、ライフラインの復旧すらままならない地域もあります。

 経済センサスでは、被害の大きい市町村の事業所数は約1万弱となっています。第1次産業や商店、伝統産業、観光産業などには甚大な影響が出るとみられ、インフラなどの復旧・復興が長期化すれば、その影響はさらに拡大する可能性が出ています。比較的被害が軽微とみられる金沢市など周辺の地域では、今後の復旧・復興需要もありますが、自粛ムードや風評被害なども見られます。

 帝国データバンクでは、2024年1月24日に「能登半島地震の影響と防災に関する企業アンケート」の結果をプレスリリースしています。本調査は有効回答企業数1,255社(インターネット調査)で、甚大な被害を受けた能登地方の企業にはアンケート要請を行っていませんが、参考になる調査です。

 「能登半島地震を機に、改めて大切だと考えた企業防災対策」(図1)について、「飲料水、非常食などの備蓄」が39.2%、「社内連絡網の整備・確認」が38.3%、「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」が31.6%となっています。また、「『企業防災』の大切さを改めて実感」したという回答は全体の94.9%にものぼっており、「事業継続計画(BCP)自体の策定・見直し」(20.6%)は5社に1社という結果になっています。

 中同協では、「同友エコアンケート」(図2・総回答数1,474社)でBCPについての調査を行っています。「ISO22301(事業継続)を取得している」は9社・0.61%、「レジリエンス認証を取得している(※国土強靭化貢献団体認証制度)」は7社・0.47%、「事業継続力強化計画の認定(経産省)を得ている」は117社・7.94%、「事業継続計画(BCP)は策定している」は235社・15.94%という結果となっています。合わせると24.96%となり、4社に1社がBCPを策定していることになりますが、裏を返すと4社に3社がBCPを策定していないことは課題であると感じます。改めて「企業防災」を検討し、「BCP」の策定・見直しを進める必要があります。

「中小企業家しんぶん」 2024年 2月 25日号より