【変革と挑戦】人を生かす経営ですべての人に幸せを 共に生きる地域づくりフォーラム2024(広島)

 広島同友会は県障害者問題委員会の企画運営で「共に生きる地域づくりフォーラム2024」を開催しました。このフォーラムは年に1度、県内各支部の持ち回りで企画準備が進められ、今年度は呉支部の担当で2月17日に行われました。「知ることから始まった人を生かす経営~すべての人が働くことを通じて幸せになる社会づくり~」のテーマで、(有)三福林代表取締役・田川富生氏、(有)メタルワーク福山代表取締役・大植栄氏がパネラーを、県委員長の(株)ニシキプリント代表取締役・宮崎真氏がコーディネーターを務め、障害者雇用の経験や雇用を通して学んだことなどを約50名の参加者に向けて発信しました。

 (有)三福林では特別支援学校からの採用だけではなく、高齢者や就職困難者など多様な社員が働いています。特別支援学校から入社したK君は入社から半年後、遅刻や忘れ物が続きます。高齢の社員に叱られ、いつもより早く出勤すると、すでに出勤していた身体障害の社員の着替えを手伝うようになりました。今では2人の後輩に教えることも増え、成長した姿を見せてくれています。

 (有)メタルワーク福山では平成4年に知的障害がある養護学校の生徒を1名採用。ところが約1年で退社に至ります。大植氏は「障害特性の理解不足で、私も明確な指示ができなかった」と当時を振り返ります。再度、特別支援学校からの新卒採用に挑戦し、現在入社3年目の社員が働いています。ものづくりがしたいと入社した彼は、ステンレス製品の磨きの仕事などで活躍中です。

 呉支部の住岡和美支部長((有)寿木工代表取締役)は閉会あいさつで、「私は社員教育を長く勉強し、違いを認めることを理解したつもりでいましたが、障害者に関しては、もしかすると私はできないことを認めていたのかも、と気づきました。(障害を持つ人が)できることを認めることが大切だと学びました」と締めくくりました。

 「今回のフォーラムは単に雇用の促進が目的ではなく、人を生かす経営の一助となればと思い準備を進めてきた」と話す宮崎委員長。参加者の中には初めて障害者問題の勉強会に参加した会員もいて、「今後は障害者の方を雇用できる体制をつくっていきたい」などの感想がありました。

 新年度から地域共生委員会に名称を変更する広島同友会ですが、障害者問題が運動として広まりつつあることを実感したフォーラムとなりました。

「中小企業家しんぶん」 2024年 3月 15日号より