【同友エコ受賞企業】同友エコ奨励賞 緑豊かな滋賀を守る
法面プロテクト(株)部長 酒巻剣氏(滋賀)

 同友エコ2022~2023受賞企業を紹介する本連載。第9回となる今回は、同友エコ奨励賞を受賞した法面プロテクト(株)(滋賀同友会会員)の取り組みを紹介します。

 法面プロテクト(株)は、「法面(のりめん)保護工事の設計・施工」を行う会社として、1980年の会社設立以来地元業界をリードしてきました。法面保護工事とは斜面のがけ崩れ、土石流、地滑りを防ぐ工事のことです。

 同社は『事業を通じて人間性を高め、会社を発展させる。』を経営理念に掲げ、滋賀県の自然と共生し、地元住民との信頼関係を大切にしつつ、高品質な法面保護工事を提供しています。持続可能な社会への取り組みとして、生物多様性に配慮した緑化工法、間伐材や伐採木などのリサイクル資材の有効利用を実現する新たな緑化工法の開発・普及など、滋賀県の豊かな自然を守りながら、地域住民の安全安心な生活の創出に取り組んできました。1991年にISO9001を取得し、2021年には滋賀県が認定する「しが生物多様性取組認証制度」の最上級認定である3つ星を取得しました。「緑豊かな滋賀を守りたい」という想(おも)いから、環境経営に注力し始めたのは先代のころからで、現社長もそれを受け継ぎ、全社一丸で今も取り組んでいます。

 環境保護に関する取り組みとして、リサイクル材を活用したBIWAソイル緑化工法を採っています。滋賀県内で廃材となる木材をチップ化し、樹木の生育基盤として有効活用しながら緑化を行う工法で、従来の植生基材と同等の緑化を維持しつつ、現場で発生する伐採木を利用することで、環境保全効果とゼロエミッションの向上を図っています。

 また、生物多様性に配慮したマザーソイル工法を活用しています。マザーソイル工法は施工予定地やその付近から採取した森林表土を利用し、その中に含まれる埋土種子集団(表土シードバンク)や土壌微生物によって自然回復を図る緑地化工法です。

 現状の業界にはまだまだ環境や生物多様性に配慮した工法が広まっているとは言えないため、同社がまずはモデルケースとなり率先して周囲にも広めていきたいと考えています。これらの工法には、金額的な面や定量的なメリットが示しづらいことなど課題もあり、まだまだ行政の理解を得にくい部分もあります。まずは実績を積み上げながら、信用を得て広めていくことを目標にしています。

 これからの課題は社内教育です。先代のころから環境経営に力を入れているため、古参社員と若手社員との間に環境経営に対する意識の差があります。法面保護は地域の安全を守る大切な仕事です。若手社員にも「法面工事はいわば“滋賀を創る仕事”だ。ウチだからこそやるんだ」と伝えて、自らの仕事に誇りを持ってもらえるように社内研修を続けています。酒巻氏は環境経営について、「会社の大きい小さいに関係なく、規模に応じて取り組めることがあります。環境経営に取り組むのは、ボトムアップではなかなか難しいです。なによりまずは社長の思いや行動が大切になってくるのではないでしょうか」と語りました。

会社概要

設立:1980年3月
事業内容:法面保護工事の設計・施工
社員数:12名
URL:http://www.norimen-protect.com

「中小企業家しんぶん」 2024年 3月 15日号より