ピンチをチャンスへ 復興への思いを同友会に結集!【石川】

 能登半島地震の発生から約2カ月。大きな被害を受けた石川では、復旧・復興に向けた懸命な努力が行われています。被災地の現状やこの間の石川同友会の取り組みをお伝えします。

全国からの支援に感謝

 1月1日午後4時10分ごろ、震度7の地震が石川県能登半島を襲いました。石川同友会では、発災直後に事務局員と役員の安否確認を開始し、復旧対策本部を立ち上げて、e.doyuより安全確保の呼びかけを発信。その後も中同協や各地事務局からのアドバイスと情報提供により、継続して情報発信を行いました。また、会員有志による物資支援、青年部会員による能登支部会員企業や事務局の片づけボランティアが行われ、能登支部会員には見舞金を送りました。1月後半からは全国の会員も独自に被災地に入り、石川の会員と連携して支援が行われています。事務局では、中同協と各地同友会の協力により3月1日まで延べ7名の事務局員の派遣支援を受けました。全国からの多くの支援金と、地震直後から独自に活動された東京同友会の物資支援には感謝の気持ちでいっぱいです。

復興に向けて能登支部会員の力強い声

 七尾市で「能登かき」の養殖・加工・販売を行っている山口翔太氏((有)山口水産取締役)は「店が傾いたり、カキ棚が流れたりするなどの被害があり、今も車中泊をしながら働く社員もいる。地元需要は落ち込んだが、SNSなどで発信を強化。注文の際に届く全国からの応援メッセージに励まされている」と話し、和倉温泉の奥田一博氏((株)奥田屋代表取締役)は「震災直後には落ち込んで旅館を畳もうと思ったが、同友会で集まることで元気が湧いてきた。若手中心に和倉復興プロジェクトが立ち上がり、リーダーは多田元支部長。同友会に入ってよかった!」と話します。多田健太郎氏((有)白崎シーサイドホテル 多田屋代表取締役社長)は「旅館という枠組みを超え、若手経営者全体で協業して奥能登復興の機運を盛り上げていきたい」と話しました。

 自分達が大きな被害に遭っているにもかかわらず他の人の心配をする「能登はやさしや土までも」と言われる能登の気風が感じられました。ピンチをチャンスに変えようとする3社は、復興への道のりを力強く歩んでいます。

復興への課題

 過去の震災では被災地までのアクセス道路が1カ月程度で10本ほど復旧したそうですが、能登半島ではもともと1本しかない主要道路(のと里山海道)が2カ月以上たった今も復旧していない区間があります。いまだに1万数千戸が断水しており、宿泊施設が再開できないことが組織的な復旧活動の妨げになっています。高齢化の進んでいた奥能登地域は、雇用が維持されなければ人口流出に拍車がかかることが懸念されており、中小企業の役割が問われています。

発災2カ月「STAND UP 石川!」

 2月26日に全県オープン例会を開催、約130名が集い、福島同友会の西條勝昭氏(西条タクシー(株)代表取締役社長)の報告から震災復興について「これからやるべきこと」を学び合いました。西條氏は、自身の経験を踏まえ、「正解のない復興の形を決められるのは地元の自分たちだけであり、そのために若い世代はどんどん挑戦してほしい。そして、先輩方はその挑戦を温かく見守り後押ししてほしい」と語りました。冒頭には能登支部会員でもある茶谷義隆・七尾市長からもあいさつがあり、最後に2016年青全交in石川のスローガン「STAND UP 石川!」を復興の想(おも)いを込めて発声し、締めくくりました。

「中小企業家しんぶん」 2024年 3月 15日号より