連載「わが社のSDGs」
地域と共にある中小企業として同友会で学び実践する
亀山石油(株) 代表取締役 亀山 大輔氏(香川)

SDGs(持続可能な開発目標)は、2030年を達成年限とし、「誰1人取り残さない」持続可能な社会の実現をめざす世界共通の目標です。連載「わが社のSDGs」では、経営理念をもとにSDGsに取り組む企業の事例を紹介します。第11回は、亀山石油(株)(亀山大輔代表取締役、香川同友会会員)の取り組みです。

 同社は1934年に創業、1970年に曾祖父が設立し、亀山氏は4代目となります。設立時は石炭などの燃料販売を中心に行っていましたが、オイルショックなどの社会変化からガスの販売に移行し、2011年以降はペレットストーブの販売などエネルギー事業として多面的に展開しています。同氏は大学を卒業後、東京のゼネコンで設備担当の現場監督として経験を積み、2005年に同社に入社しました。同友会へは2009年に入会し、自分の中で後継者から経営者へと意識が変化しているタイミングで「経営指針を創る会」に参加しました。その後は、委員会活動を中心に総務財務委員長や青年部委員長を経験し、2022年からは香川同友会が実施している「共育型インタビューシップ」にも参加しています。

インタビューシップとSDGs

 インタビューシップへの参加と並行して新卒採用にも取り組みはじめました。全国行事などで、持続可能な会社にするためには理念を共有した社員が必要だと学んだことがきっかけでした。22年、23年と1名ずつ採用することができ、インタビューシップにも一緒に参加しています。高校生から自社のSDGsの取り組みについて聞かれたことから、事業とSDGsの関連づけを行いました。エネルギー事業であることからゴール7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)との関連が強いと定め、具体的に事業内容と目標(ターゲット)について現状把握を行い、SDGsを事業に落とし込みました。高校生からは「理念とSDGsがひもづいていることが理解できた」と感想が寄せられ、事業の見直しや理念の共有ができたことで社員教育にもつながったといいます。

自社が地域でできるSDGs

 瀬戸内海の離島では過疎化が深刻で、同業者の撤退などで住民の生活に変化を強いられています。そのため、同社は離島へもエネルギー供給を行っており、島の活性化協議会が中心となった飲食店や空き家を転用した民泊へのエネルギー供給の依頼もきています。

 また、地域の維持・発展には障害者が活躍できる仕事も必要であることから、障害者雇用ができる事業づくりを方針に入れています。現在の事業では資格取得の関係から雇用が難しいため、グループ会社として不動産業と飲食業をスタートしました。事業を展開することで可能性が広がり、その結果自社の維持・発展にもつながると捉えています。地域のために自社で何ができるのかを考えることが経営者の仕事であり、長期的な視点を持って他社とも協力しながら取り組むことで自社と地域の発展につながると考えています。

 さらに、カーボンニュートラルの取り組みとして、CO2フリーの電気を販売する新会社を設立しました。エネルギー販売事業は商品の差別化が難しいため、理念に基づいた事業展開を行うことで自社の考えに共感するお客様をターゲットに販売する予定です。亀山氏は「自社で販売しているエネルギーを継続して使ってもらうことが重要。石炭からガス、ガスから電気へと時代と共にエネルギーが変化しているので、いかに変化に対応するかを常に考えている」と語ります。

持続可能な自社と地域のために

 同社の経営理念は「エネルギーを通じて家族の健やかな暮らしに貢献する」です。社員には「ガス屋ではなくエネルギー屋。当たり前の暮らしを提供するための手段としてエネルギーを販売している」と伝えています。現在は社員主導で10年ビジョンを作成中。SDGsの目標を基準に10年後どうなっていたいかを考える習慣をつけ、1~2年かけてつくり上げる計画です。

 「長期的な視点を持つことが必要。地域と自社は不離一体で、両方の持続可能性を考えなくてはいけない。地域課題を自社だけで解決することは難しいので、同友会や行政と一緒に考えることが必要。SDGsの取り組みや障害者雇用はボランティアではなく、事業としていかに成り立たせるかが重要」と亀山氏は話します。同友会での学びを実践し、試行錯誤を繰り返すことで自社の維持・発展と持続可能な地域へ向けて取り組み続けます。

会社概要

設立:1970年
資本金:1,500万円
社員数:15名
事業内容:LPガス・灯油販売、ガス・水道・電気・空調工事・機器販売、住宅・店舗等リフォーム工事、一般家電製品・天然水販売、自然エネルギー利用機器設計施工
URL:https://www.kameyama-sekiyu.com

「中小企業家しんぶん」 2024年 3月 25日号より