2024年の日本経済はどうなるか

 世界経済は減速しているものの、米国経済は堅調です。24年の世界経済の成長率をIMFは3.1%、OECDは2.9%、世界銀行は2.4%と予測しており、世界経済は成長率は3%前後の不況端境期です。米国の消費が堅調で大不況入りを免れていますが、ロシアのウクライナ侵攻が長引き、イスラエルのガザ進攻が見通せず、世界的対立が深刻化する中で、不透明さに包まれた不況型経済です。米大統領選挙が11月に行われるため、米国のFRBの利下げ開始と紛争の長期化の動きが大きく影響を及ぼしますが、世界経済は低インフレから高インフレへの転換時代を迎えています。

 24年の日本経済の成長率を見ると、IMFは1.0%、OECDも1.0%、世界銀行は0.9%と予測しており、内閣府でも1.3%と鈍い回復見込みです。21の民間調査機関の予想を見ると(表参照)、24年の名目GDPが23年5.2%から2.4%に、実質GDPが23年1.3%から0.7%と、さらに低下する予想です。23年と比較して見ると、まず原油価格が1バレル81ドルから80ドルと限界ぎりぎりの高さで、為替レートが1ドル143円から140円と円安レベルがまだ続く予想です。鉱工業生産指数がマイナス1.0%から1.7%まで戻り、国内企業物価指数も1.8%から0.7%まで落ち着くとされる一方、消費者物価指数は2.7%から2.0%と食品とエネルギー価格の高止まりにより消費の低迷が続く予想です。結果として個人消費が伸びず、民間最終消費は23年がマイナス0.3%、24年の21機関の予測が最低0.2%、最高1.2%で平均0.6%と低迷予想です。民間住宅投資が、23年1.3%から24年マイナス5.7~0.5%で平均マイナス1.1%とほとんどマイナス予想で低迷すると予想。民間企業設備投資は、10~12月で思わぬ増加に転じ、23年0.1%から24年1.2~3.3で平均2.1%と生成AIの普及の急増と半導体による急回復で増加の見込みです。民間在庫はマイナス0.1%と下押し圧力が続き、政府最終消費支出も0.5%と今ひとつ、公共投資も23年2.6%から24年マイナス0.9~2.5%で平均0.6%程度と低下の予想。財貨・サービスの輸出が23年3.9%から24年0.6~4.2%で平均2.0%に低下するも増加の予想、輸入については原油高が高騰した22年の反動で23年マイナス2.5%から24年0.5~5.2%で平均2.1%と増加傾向に戻る予想です。

 全体として原油価格の動きに左右されますが、人手不足の重しで数を追うのでなく、消費マインドの低下の中で、少量でも高額品や付加価値の高いものをいかに売るのかへの対応が必要です。

「中小企業家しんぶん」 2024年 3月 25日号より