【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】
経営指針を活用した強靭な会社づくりが地域に広がる【福島】

 福島同友会のいわき支部が構成団体として加盟している「いわき市中小企業・小規模企業振興会議」(座長:丹野勇雄・福島同友会いわき支部副支部長)では、同友会が進める「経営指針の成文化とその実践による強靭(きょうじん)な会社づくり」を地域に広げる活動が行われています。

 2022年度は、「経営指針策定セミナー」を開催。「会社の未来を創造してみませんか?」と題して、福島同友会会津支部の松崎健太郎氏((株)オクヤピーナッツジャパン代表取締役)が経営指針に基づいて社員と共に事業展開を進めてきた事例を報告し、いわき市内の経営者27名が参加しました。

 2023年度には、振興会議の中核を担っているいわき市から「いわきビジネススクール」の運営を受託しました。具体的に経営指針の成文化を進めようとの企画で、2023年10月から2024年2月までの全5回の開催でした。受託にあたっては、同友会で進めている「経営指針を創る会」での学び合いの要素を基本にカリキュラムを構成し、いわき支部経営労働委員のメンバーが講師とアドバイザーを務めました。振興会議の構成団体の推薦で9社が参加し、「経営指針成文化と実践の手引き」「人を生かす経営」の読み合わせと自社分析・経営環境分析のワークや先輩委員による経営指針成文化の実践報告を通して、最終的には4社が「経営理念」と「10年ビジョン」の発表を行いました。

 2016年4月1日施行の「いわき市中小企業・小規模企業振興条例」は、同友会がいわき市や商工会議所などに強く働きかけて制定され、現在では同友会の丹野氏が座長を務めています。こうした中で、いわき市の行政からの同友会がめざす企業づくりへの理解も深まり、各種施策の企画などにあたって、支部役員・事務局とのコミュニケーションが図られるようになりました。

 そんな振興基本条例の成果の1つが、こうした地域に「21世紀型中小企業」を増やしていく取り組みだと言えます。今後も同友会がめざす企業づくりに対する理解を地域に広げながら、さらに同友会の仲間も増やし、東日本大震災・原発事故から13年を迎えるいわき地域をより元気にしていく取り組みを進めていきます。

「中小企業家しんぶん」 2024年 4月 5日号より