仲間とともに新たな一歩を踏み出す 各地で合同入社式・新入社員研修会を開催

新年度に入り、各地同友会で合同入社式・新入社員研修会が行われ、多くの新入社員が迎え入れられました。その中でも今回は、青森、栃木、福井、和歌山、高知の取り組みを紹介します。

社会人の心がまえを学ぶ【青森】

青森同友会では毎年、3月末に『合同入社式&フレッシュ社員マナー研修会』を開催しています。4月1日から各社で働き始める新社会人と前年度中に入社した中途採用者が集い、新たな人生の一歩を祝う機会として今年で12回目を迎えました。今年は11社から21名が参加し、期待と不安の入り交じった面持ちの新入社員たちが式に臨みました。

冒頭、大坂憲一・代表理事が「先輩や上司もみんな、はじめは新入社員からスタートしている。互いに相談し、アドバイスし合える関係を築いていってほしい」と式辞を述べ、エールを送りました。これに対し、新入社員を代表して成田紫紅(みく)氏((株)エーアイサイン(津軽支部)入社)が「学生時代とは異なる環境に苦労することもあるかもしれませんが、これまでお世話になった皆さんに仕事を通じて恩返しがしたいです」と力強く決意を述べました。この後、(株)木村タイル工業・代表取締役の木村稔氏(青森支部)が『社会人の心がまえ』と題して、自身の失敗談や成功体験を交えながら講話を行いました。

合同入社式に続いて行われたマナー研修会では(株)I・M・S(津軽支部)のキャリアコンサルタント、中谷紗矢佳氏が講師を務め、コミュニケーションの重要性から報告・連絡・相談のスムーズなやり方など、グループワークを取り入れた研修が展開されました。一般的なマナーを習得するうえで、その動作にどんな意味が込められているかを解説しながら進められました。講座が進むにつれ、新入社員の皆さんの緊張も徐々に解け、ワークの途中で笑顔が見られるようになっていきました。

参加した新入社員からは「相手のことを考えたうえで行動に移せる社会人になりたい」「1日1日を大切にして、無駄にしないように生活していきたい」といった新社会人らしい、初々しさの中に社会に出ることへの緊張と期待がにじむ感想が寄せられました。

会社の中で主体者として生きていく【栃木】

栃木同友会では第3回目となる合同入社式・研修会を、4月2日ライトキューブ宇都宮にて開催しました。新入社員と中途採用者を含む8名と、付き添いの経営者・経営幹部ほか、総勢23名が参加しました。入社式では、参加企業各社が1人ずつ新入社員を紹介し、(株)フカサワの櫻井悠貴氏が代表して「わからないところは積極的に質問し、少しでも早く仕事を覚えられるように頑張っていきます」と決意表明を行いました。福田富一・栃木県知事からは祝電が寄せられ、「栃木県では、全ての活動の原動力となる『人』の育成に全力で取り組んでいます。本日ともにこの日を迎えた仲間との交流や先輩からの温かい助言を契機に、御活躍されることを心から期待しています」と激励の言葉が贈られました。

基調講演では、(株)ウィステリアコンパスの斎藤秀樹社長が自身の入社から社長になるまでの経験を語り、同社の社員である高嶋洸太氏が「働くうえで大切なこと」を伝えました。失敗を通して学んだことなども交え、社員の成長とともに会社が変わってきた同社の取り組みから、それぞれの会社の中で主体者として生きていくことの大切さが語られました。研修会では、働く目的について、時間・空間・人間関係・気持ち、そして「お金」について講義とディスカッションが行われました。4回にわたって行われたグループ討論では、自分とは異なる考え方に触れることで「参加前と参加後での考えが根本は変わらないが、そこに行くまでの過程など討論ができ、考えが短絡的ではなくなった」といった感想にもあるように互いに学び合い、育ち合う機会になりました。

栃木同友会の合同入社式・研修会は今回で3回目となりますが、今回初めて参加した社長は「若手の中途社員にとってもキリがいいかと思ってこの会に参加したが、社員たちの喜々とした顔にうれしくなった」また、「あの子があんなに堂々と発表するなんて」と目を細めていた光景もあり、あらためて若い社員の可能性を感じるとともに、経営者の責任を胸に刻む時間となりました。

今年は新卒採用が難しかった企業が多く、参加者が減りましたが、年を重ねるごとに研修内容が充実してきました。主催した経営労働委員会は、「採用ができなかった企業もこの会に参加することで、あらためて採用の意欲が高まる。継続することが同友会の力になる」と語り、次年度の継続開催に向け新たなスタートを切りました。

人を思う心・感謝の気持ちを忘れずに【福井】

3月29日、2024年度合同入社式・研修会を開催し、7社22名の新入社員が社会人としての一歩を踏み出しました。

冒頭、山内喜代美・代表理事が「仕事をしていくうえで知識や経験を追い求めがちですが、人を思う心や感謝の気持ちが何より大切です。1つ1つの仕事に真摯(しんし)に向き合ってください」と激励しました。

これに対し新入社員を代表して、(株)長田工業所の木下元心氏が「1日も早く社会や会社に貢献し、周りに尊敬され、信頼してもらえるよう努力し、成長していくことを誓います」と決意を述べました。

このあと、新入社員たちは緊張した面持ちで、それぞれの経営者から辞令を受け取りました。

続いて、会員企業の増永眼鏡(株)に勤務する佐々木龍太氏が「分からないことは自分から勇気をもって、聞いてみる、話してみることが成長につながります」と先輩社員としてエールを送りました。

第2部では、増永眼鏡(株)増永宗大郎代表取締役が「周りに期待しすぎず、自分に期待しよう」のテーマで講話しました。

第3部は、(株)WALLESS山内喜代美代表取締役が「人生の新たな一歩を踏み出そう」をテーマに研修会を行いました。

グループワークでは、簡単な自己紹介をし、緊張も解け、笑顔も垣間見られました。

新入社員から「業種の異なる方々と同期として入社式に参加することができうれしく思いました。自分らしく楽しく前向きに働きたいです」「自分と同じ時期に社会に出て仕事をする、頑張る仲間がこんなにいることを実感しました」「たくさんの人から頼ってもらえるような社員になりたい」「緊張して、不安はたくさんありますが積極的に動けるようになりたい」との感想がありました。

今後も新入社員の交流の場、入社式参加者同士の懇親会などを企画し、社員同士のつながりを深めていきます。

目的を持って仕事に取り組む【和歌山】

4月2日、和歌山同友会「2024年合同入社式・ビジネスマインド研修」が行われ、会員企業より11社25名の新入・中途社員の参加者がありました。

最初に熊井智一・代表理事から「皆さんの新たなスタートが、自己の成長はもちろん、地域社会にとっても大きな価値をもたらすことを確信しています。今日この日の記憶を胸に、夢と情熱を持って日々の業務に取り組んでください」と歓迎のあいさつがありました。

続いて先輩社員からの激励の言葉として、(株)仁インターナショナルの谷口真奈氏より「私は社会人になり目的と目標を持って仕事に取り組むことの大切さを学びました。目的達成のため、自分に自信を持って日々成長してください」とエールが送られました。

新入社員を代表して(有)熊井自動車の北口翔悟氏より「社会に貢献し、よりよい未来を築き、人々の幸せな生活を実現することが私たち新社会人の共通の目的です。本日新たな航海に出発します。未知の海では、多くの困難や挑戦が私たちを待ち受けていることでしょう。しかし、出会うことができた仲間と共に、恐れることなく果敢に立ち向かいたいと思います。常に歩みを止めず、目的に向かって全身全霊を尽くすことを誓います」と決意が述べられました。

入社式終了後のビジネスマインド研修は、中小企業診断士で(株)きのくに未来ビジネスセンター代表取締役の岡京子氏を講師に、社会人としての心得などを「会社の仕組み」「社会人として大切なこと」「職場のコミュニケーション」「タイムマネジメントから学ぼう」の4つの視点からグループごとに途中ワークも挟みながら学びました。最初は緊張気味だった参加者たちも途中から笑い声もあり、“同期”とのコミュニケーションを深めました。

研修会での学びを通じて、「今日決めた目標・スケジュールを忘れることなく、日々自分を更新していきます」、「『あなたがいてよかった』と思ってもらえるようになりたいです」などの感想がありました。

仲間づくりを大切に、唯一無二の人財に【高知】

4月4日、高知県高知市立オーテピア高知図書館にて高知同友会教育委員会による合同入社式が、6社25名の参加で開催されました。中小企業は各企業の入社人数が少ないため、合同で行うことによって、来賓からの祝辞や講師を迎えてのセミナー開催など盛大で有意義な入社式を開催することができました。

来賓は高知県商工労働部長と高知市商工観光部長、祝辞を述べたあと、高知県知事と高知市長からの祝辞も代読しました。

また、先輩社員からの激励の言葉として、「夢を持つことでその夢をかなえたい気持ちにつながり、持続して成功へとつながってゆく」という自身の経験からの大切なアドバイスが述べられました。

記念の1ページとして全員で記念撮影を行ったあと、(株)ビスタワークス研究所の結城貴暁氏が「新時代の到来、唯一無二の人財になる」と題して記念講演を行いました。結城氏は「垂直志向だけでなく水平思考を持ち、目的から考えて行動をすることが仕事である」と話し、仲間づくりの大切さを説明しました。なぜ仲間づくりが大切かと言えば、2割は遺伝子(先天的な能力)で8割は脳機能(後天的な能力)であり、脳機能のなかでも大脳は誰かと助け合うことで、すくすくと育つものであるから。よって、仲間づくりをしてコミュニケーションを深めることが重要だということです。会社でのコミュニケーションを深めるため、最優秀社員賞を1年に1回選び、やる気の法則として、(1)ただ言われて働く、(2)意味を理解して働く、(3)自ら考えて工夫して働く、(4)絆やつながりのもとに働くとステップアップしている事例が紹介されました。結城氏は最後に、感謝を大切にしてゆくことも大事であると伝え、講演が終了しました。

午後は、人・みらい研究所代表の筒井典子氏によるフレッシュマン研修会が開催されました。研修会の内容は(1)あいさつの重要性、(2)ビジネスの基本、(3)仕事のホウレンソウ、(4)接遇の基本、(5)知らないとリスクになる敬語、(6)電話対応の基礎。あいさつや電話応対の仕方などを実践的に学びました。

最後に今年の新入社員から、「今日の学びを大切にして社会人として自覚を持ち仕事に励みます」と決意表明があり、これからの社会人生活への覚悟が示されました。

「中小企業家しんぶん」 2024年 5月 5日号より